納得できる転職
ここで示すトラブルは、すべて在米日系企業の事例ですが、「対岸の火事」と眺めるのではなく、ぜひこの中から、トラブルを回避するための重要なヒントを読みとっていただきたいと思います。
まず、大手小売業C社の事例から−。
C社は日本人が多く住む地域にいくつかの店舗を構えていますが、解雇に伴う集団訴訟はそのうちの店舗で発生しました。
訴えたのは日系アメリカ人の女性5人。
いずれも高齢の方たちです。
その店では開業した当初から、彼女たちを販売員として雇っていました。
いわゆる日系2世、3世の人たちですから日本語も多少できます。
ですから、店にとってはとても重宝だったのです。
しかし、開業からすでに20年、彼女たちの中には60歳を超える人もでてきました。
販売員としての生産性が落ちただけでなく、数年前から遅刻が目立ちはじめ、物忘れによるミスもたびたび起こります。
C社も当時、業績が落ち込んでいて、人員の合理化が必要な時期でした。
C社としては彼女たちの円満退社を願い、その旨を通告したわけです。
でも、彼女たちは日本ふうの年功的賃金の恩恵にあずかっており、その既得権を手放したくありません。
さらに、自分自身ではまだ働けると思っていました。
そうした彼女らの不満を聞きつけた弁護士が、「裁判にもち込めばおカネになる」と吹き込んだのです。
こうして、「年齢差別による解雇」を訴える訴訟が起こされました。
日本では考えられないことですが、アメリカではこの種の訴訟がひっきりなしに起こっています。
ご存じのように、弁護士が。
供給過剰になっているため、裁判のやり得をそそのかす弁護士があとを絶たないのです。
陪審員制のアメリカでは、端的にいうと、彼女たちが「何の落ち度もないのに、高齢というだけで無慈悲な会社からクビを切られた可哀想な女性たち」と認められれば、C社は裁判に負けてしまいます。
敗訴となれば、同種の裁判の判例からして、1億〜2億円に相当する賠償金を原告に支払わねばなりません。
窮地に立たされたC社から私たちに協力要請の連絡があったのは、その裁判がはじまる数ヵ月前でした。
人事管理システム「ACS」の記録が勝訴を導くといっても、私たちがその裁判に直接かかわったわけではありません。
C社から協力の依頼があったのは、私たちの開発した人事管理システム「ACS」を、この訴訟が起こる4、5年前にC社が導入していたからです。
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